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南アは実力、あるいは資格社会です。その人が何をできるか、またどんな資格を持っているか、で就職が決まったり、お給料が決まったりします。
各職種にかなり明白な基準があり、どのレベルの職業訓練を終えているか、ということも大きな意味を持ちます。 また、日本のように、職場が従業員を時間をかけて訓練する、ということも、大企業ではあるのですが、中小企業になるとそんな余裕もなく、上を目指す人は自分でそういった資格を取るべく、専門学校や夜間の大学、あるいは通信教育でステップアップしようとがんばります。 例えば、私の日本語の生徒である日系の自動車企業で働くエンジニアたちも、仕事をしながら何年もかけて、マネージメ ントの学位やMBAを修得することは普通のことです。 それこそ、何年もかけてコツコツ、コツコツと。 キャロル・ドラミニさん キャロルは30歳。この自動車企業に就職して、8年になります。彼女のスタートは、工場のラインからでした。 就職したときは、実は、製造業にはまったく縁のなかった彼女。彼女が習得していた資格は、何と観光にかかわる資格だったのです。 でも、この自動車会社以外にはどこも採用が決まらなかったことをきっかけにして、彼女は工業のラインで働き、会社の自己研修プログラムをコツコツと勉強し、ひとつひとつ自動車製造業の資格を取ってきました。 そして入社から8年目、彼女の現在の肩書は、GL(グループ・リーダ―)です。彼女の下には、多くのの作業員がいます。そして、いまは8月から派遣される 予定の日本行きを目指して、日本語の勉強に励んでいます。 キャロルはシングル・マザーでもあります。息子さんは10歳。ただ、キャロルの出身部族であるZULUの家族は、核家族形態はあまり一般的ではありません。キャロルも両親と兄弟たちと一緒に住んでいます。ですから、子どもを一人で育てている、といった現実ではありません。 また、彼女の家のあるウムラジは、ダーバンでも最大の黒人が多く住む地域で、隣近所のお付き合いもいまだにかなり健在なのです。学 校から帰ってきた子どもたちが、大挙して遊びに熱中している風景もまだまだ存在しています。 キャロルは、弱冠30歳ながら、かなりの負担が彼女の肩にかかっています。実際、彼女は家族の中でもメインの働き手の一人でもあり、小学生の母親でもあり、工場でも多くの作業員をまとめるリーダーでもあるのです。 その上、勉強の方でも彼女は学位を取りたいということで、来年からは仕事の後、工業系大学へ再入学の予定もあります。 ただし、今年は日本への研修のため、“実用日本語検定四級”という資格を取ることが第一目標になってしまい、学位の勉強の方は 一時中断しています。 彼女には、ありとあらゆる方面からの負担がかかっているようなのです。 そこで、聞いてみました。こんな状態はあなたにとって、ストレスがたまらないの?と。 彼女は満面の笑顔でこう答えてくれました。 「ゼンゼ〜ン、大丈夫!私は挑戦されるのも好きだし、挑戦するのも好き!」 それだって、実際はとっても大変じゃないの?という私のさらなる疑問に、 「ふふふ。あなたは私の先生だから分かるでしょう?私は秀才ではないの。頭だって、そんなによくないのは自分がよ〜く分かって いる。そして、記憶力が悪いのよ!でもね、この“記憶が悪い”が私の場合は本当にうまく行く要因だと思う。嫌なことがあっても、すぐ忘 れちゃうの!」 という天真爛漫な答えが返ってきました。 実は、キャロルは1年前に婚約者を突然の病で亡くしているのです。高熱が出て、病院に入院して、何が原因かも分からないうちにたったの1週間で他界してしまったそうです。 それに、当時はもう別居していたとはいえ、彼女の息子さんのお父さんに当たる男性も、この婚約者の亡くなる2年前に交通事故死しているのです。 パートナーが突然いなくなる、という辛さは私もよくわかります。この若いキャロルがどんな心でこれらの困難を乗り越えていったか、本当に頭が下がります。 彼女に聞きました。彼女は何を最終的に達成したいのか、と。すると、とっても小気味のよい答えが返ってきましたよ。 「私はね、この会社の、最初の黒人女性の副社長になりたいの」 いいですねぇ。彼女のように、自分の実力を知りながら、そして通常であれば“欠点”とも思われてしまうかもしれない個性さえも見方にして、コツコツ、コツコツ努力する姿勢はすがすがしいです。 何をしても一回で納得、習得してしまう優等生とは違うけれど、毎日、きっとくたくたになりながらも、ひらがなを復習し、漢字だって、一日に最低2個は丸暗記して、文法だって何とか理解しようとしているキャロル。 しっかり愛のムチでしごかせてもらって、日本語を学んでもらって、笑顔で彼女を日本に送り出したいと考えています。 お知らせ 空色庵もどうぞ。
by yoshimuramineko
| 2010-05-11 05:05
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