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タリバンに捕らえられた23名の韓国の方たちの一人目の犠牲者のニュースを聞いて、いま、自分が読み終えたばかりのアフガニスタン出身の作家、カレド・ホセイニの二冊目の本をみつめた。
カレド・ホセイニは、米国に住む作家だ。彼の処女作『カイト・ランナー』はNYタイムスのベストセラーリストに64週も載り、全世界で300万冊を売った。2001年以降の欧米諸国で、アフガニスタン出身の作家が描くイスラムの社会がこれほどの読書を獲得したのは意味がある。CNNやBBCから流れてくる情報を見ていると、欧米社会のイスラム世界に対する誤解、嫌悪、恐怖心は政治的に煽られすぎている、といっても過言ではないと思う。 この『カイト・ランナー』は、スピルバーグ監督による映画化も進められているようだ。書物からでも、映画からでも、自分たちの日常と遠く、離れている世界のことを少しでも知る機会が増えることは単純にいいことだと思う。どうか、映画がこの本の世界を忠実に再現してくれますように。 本書の後半、アフガニスタン人が苦労もなくパキスタンに入国したり、主人公の幼いころ彼をいじめた張本人が、タリバンの中でも残酷な主要人物になっていたりして、やや強引なストーリー展開が気にはなった。しかし、本書は全体の構成が見事だ。イスラムの異文化に触れ、その習慣や人々の考え方に驚かされながらも、非イスラム教徒の私たちにも共通の、肉親の情、自分の損得を超えた責任、といった本書に流れるテーマに引き付けられていく。 そして、カレド・ホセイニの二冊目の本が、『 A thousand Splendid Suns』だ。まだ邦訳は出ていないので、あえてタイトルを意訳すると、「千の輝かしい太陽」とでもなるだろうか。このタイトルを理解するためには、物語をかなり読み進めなくてはいけない。この本の衝撃的な後半部分に救いがあるのは、このタイトルが二人の女性主人公の心情を見事に表現しているからだ。 だが、この本は日本に育った私にはあまりにも辛い本だ。 前半部分に登場する主人公の女性と私は一歳違い。私が小学校の校庭でバレーボールを懸命に練習していたころ、彼女は自分の出生ゆえ、学校へ通うことを許されず、ただ週一回の父親の訪問を楽しみにしていた。私が高校受験の合間にラジオの深夜放送で音楽を楽しんでいたころ、彼女は30歳も年の離れた男に嫁がされた。私が自分の子どもに乳を与えていた頃、彼女は自分の娘のような少女が自分の夫の子どもを産むのを助けなくてはいけなかった。私が職業的に充実した日々を送っていたころ、彼女はタリバンに公開処刑された。 私自身、数多くの文化圏で生きてきているからこそ、それぞれの人の人生を単純に比べることがいかに無意味か、ということは身にしみている。しかし、それにしても、『 A thousand Splendid Suns』に登場するアフガニスタンの女性たちの運命は厳しすぎるのだ。 タリバンが国際社会で知名度を持ったのは、そのあまりにも行き過ぎたイスラム崇拝の姿勢だった。女性の社会進出を徹底的に否定し、バーミヤンの大仏を破壊し、数多くの市民の平安を奪った。だが、タリバンの兵士たちも、アフガニスタンの国としての混乱の中から生まれた子どもたちだということが重い事実として私にのしかかる。 『 A thousand Splendid Suns』の中には、タリバンがアフガニスタンの市民たちに配布した「禁止事項」も書かれている。その中には、「異宗教を広める行いは処刑される」というものも含まれている。 私は暴力を絶対に肯定しない。が、暴力の嵐の中でその正当性をかざす人たちを説得するには、個人の善意や心情だけではどうにも立ち向かえないことも知っている。タリバンが一刻も早く残りの人質全員の解放をしてくれることを切に願う。
by yoshimuramineko
| 2007-07-27 07:07
| 今月の読書と映画
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